建設業のM&A
建設業界が抱える課題
多くの業界の例に漏れず、建設業界でも高齢化の波が押し寄せています。55歳以上の就業者数の割合は増加の一途を辿っている一方、29歳以下の若年層の就業者の確保が困難な状況です。今後10年で大半の高齢者が引退するとされており、人材不足はより一層深刻化していく見通しです。
業界のM&A動向
建設業界では、これまであまり活発にM&Aが行われてきませんでした。しかし近年、人材不足の解消や事業エリア拡大などを目的にM&Aが増加傾向にあります。その理由として、譲渡側の経営者の高齢化に伴った売却案件が多く、譲受側も手を挙げやすいことなどが挙げられます。また、建設に関わる隣接業界がM&Aによって建設業界への新規参入を進めており、業界でのM&Aは活況を迎えています。
建設業のM&Aを成功させるポイント
譲渡企業
- 譲受企業に対しての自社の強みのアピール
- 希望の額面で売却するためには、自社の強みを明確化し、それを相手へ的確にアピールする事が重要です。優れた技術や経営資源を保有していてもそれを自社が認識できていなかったり、譲受企業にその価値を伝えられないと良い条件での譲渡を行えません。最終的には譲渡企業と譲受企業の交渉によってM&Aの価格が決定するので、譲受側が譲渡側を高く評価すれば希望の額面で売却できる可能性があります。地域における知名度やブランド力、優秀な人材を抱えている事や受注の実績などが評価される「強み」です。そういった強みを明確化し、的確なアピールができるかどうかがポイントになります。
- 譲受企業との案件引継ぎ協議
- 長期の請負案件がある場合、進行中の工事があるままの状態でM&Aを行う場合があります。その工事案件をどうするかについて譲受側と協議することが重要なポイントになります。選択肢としては譲受企業に案件を引き継いでもらうか、他の建設会社に引き継ぐかのどちらかになります。その場合、後のトラブルを回避するために工事にかかる費用の負担割合を明確にしておく事が必要です。
譲受企業
- 粉飾決算に注意する
- 節税を目的とし、利益を減らしていたり、売上計上の時期をずらして多く見せたりするなどの粉飾決算を行っている企業を買収してしまうと、後から多額の追徴が行われたり、評判が落ちるリスクがあります。そういったリスクを避けるため、徹底したデューデリジェンスを行う事が重要です。
- 受注工事の割合や受注体制の把握を行う
- 建設業の場合、受注している工事の割合や受注体制によって収益の大きさや安定性が変わります。元請けに近ければ近いほど多くの利益が確保できる傾向にあります。現状を把握し、自社とのシナジー効果や今後の収益性・安定性を分析し、譲渡企業の過大評価を避ける事が重要なポイントになります。
建設業のM&Aのメリット
譲渡企業
- メリット
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- 人材不足の解消
- 後継者不在問題の解決
- 取扱物件情報などの共有
- 従業員の待遇改善
- 大手傘下で安定的な事業運営ができる
譲受企業
- メリット
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- 事業成長にかかる時間の短縮
- 事業規模の拡大
- 未進出の地域への参入
- 技術力の補強・強化
- スキル・経験の豊富な人材の確保
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